Oriental motor L Series User manual

製品の取り扱いは、電気・機械工学の専門知識を持つ有資格者が行なってください。
お使いになる前に、「安全上のご注意」をよくお読みのうえ、正しくお使いください。
また、本文中の危険・警告・注意・重要に記載されている内容は、必ずお守りください。
この製品は、一般的な産業機器への組み込み用として設計・製造されています。
その他の用途には使用しないでください。この警告を無視した結果生じた損害の補
償については、当社は一切その責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。
Lシリーズは、電磁ブレーキ付スピードコントロールモーターとラック・ピニオン機
構を組み合わせた電動アクチュエータです。DSCを使用することで、運転・停止や速
度の調整、移動方向の変更が可能になります。
Lシリーズに関する取扱説明書には、次のものがあります。
zL
DSC
アクチュエータ(本書での表記:リニアドモーター)の設置や運転の概要について説明
します。
zDSC
スピードコントローラの機能、設置・接続方法、トラブルシューティングなどについ
て説明しています。
ここに示した注意事項は、製品を安全に正しくお使いいただき、お客様や他の人々
への危害や損傷を未然に防止するためのものです。内容をよく理解してから製品を
お使いください。
リニアドモーターを組み込む機械が関連する安全基準を満たしていない場合、リニ
アドモーターの運転を開始する(用途の指定に従って装置を操作する)ことは禁止さ
れています。工場または機械の安全責任者は、けがや機器の損害を防止し回避する
ため、電子機器の作業に精通した有資格者のみが機器の操作を行なうように保証す
る必要があります。
有資格者とは、訓練や経験、教育を受け、また関連基準や規則、事故防止規則、点
検条件について精通しており、工場の安全責任者によって必要な活動を行なうこと
を許可され、潜在的危険を識別し、防止することのできる人を指します。
༴㝤
㆙࿌
ὀព
重要
:
してはいけない「禁止」内容を示しています。
:
必ず実行していただく「強制」内容を示しています。
༴㝤
㆙࿌
㆙࿌
ὀព
L
DSC

製品をお使いいただくうえでの制限やお願いについて説明します。
z
z
リニアドモーターとスピードコントローラを接続した状態で、絶縁抵抗測定、絶縁
耐圧試験を行なうと、製品が破損するおそれがあります。
z
可搬質量を超えた荷重で運転すると、製品が破損する原因になります。必ず可搬質
量以下の荷重で運転してください。可搬質量については、当社の WEBサイトでご確
認ください。
https://www.orientalmotor.co.jp/
z
許容値を超えたラジアル荷重や回転トルク(モーメント)が加わった状態で運転を続
けると、ラックブッシュの摩耗が早くなったり、破損する原因になります。ラジア
ル荷重と回転トルク(モーメント)は、必ず許容値以下にしてください。
なお、許容値以下にしていても、リニアドモーターの運転を繰り返していると、ラッ
クブッシュが摩耗します。ラックブッシュの摩耗を抑えたいときは、ガイドなどを
設けてラジアル荷重や回転トルク(モーメント)を軽減させてください。
z
運転中のラックを硬いものに当て止めすることは、絶対にしないでください。
衝撃で、製品が破損する原因になります。
z
ラックのストロークは、ラック端からラックブッシュまでの長さ(片側あたり)です。
リニアドモーターを運転するときは、必ず一方のラック端がラックブッシュ内に入
り込む前に反転させてください。ラックは、両端のラックブッシュで支えられてい
るときに、正常な運転が可能になります。
リニアドモーターを装置へ取り付けた際に、取付脚側のラックブッシュが確認しに
くいときは、ラックが入り込まないよう余裕を持ったストロークで使用することを
お勧めします。
ストローク
ラックブッシュ
ラックブッシュ
z
•出荷時はグリースがラック歯面に塗布されています。ラックの表面や歯面のグリー
スは拭き取らないでください。グリースを拭き取ると歯面間の潤滑が悪くなり、
ラック・ピニオンの寿命が短くなります。ラックの表面や歯面は、必ずグリースが
付いた状態で運転してください。
•リニアドモーターから、グリースがにじみ出ることがあります。グリースによる
周囲環境の汚染が問題になるときは、定期点検時にグリースのにじみを確認して
ください。または油受けなどの損害防止装置を取り付けてください。グリースに
よって、お客様の装置や製品などに不具合を発生させる原因になります。
z
電磁ブレーキは無励磁作動型のため、停電時などに負荷を保持するのに役立ちます
が、負荷を確実に保持する機構ではありません。安全ブレーキとして使用しないで
ください。
z
OFFにすると、下方向への駆動時に速度を制御できなくなり、負荷が落下するおそ
れがあります。
z
周辺機器のフォト・マイクロセンサを使用するときは、負荷を固定する前に取り付け
てください。先に負荷をラックに固定してしまうと、センサブラケットを取り付け
ることができません。
z
次のものがすべて揃っていることを確認してください。
不足したり破損している場合は、お買い求めの支店または営業所までご連絡ください。
リニアドモーター•.................1 台
取扱説明書(本書)•.................1 部
リニアドモーターの品名は、製品の銘板に記載された品名で確認してください。
お問い合わせの際は、品名、製造番号、製造年月をお伝えください。
•品名の には、ラックの基本速度を表わす数字が入ります。
45
:45•mm/s、20
:20•mm/s、10
:10•mm/s
•品名の には、ストロークを表わす数字が入ります。
1
:100•mm、2
:200•mm、3
:300•mm、4
:400•mm
7
:700•mm、8
:800•mm、10
:1000•mm
LM2FDSC6JAM-DSCD6JAM
DSC-MU
CH35FAUL2
LM2FDSC6JCM-DSCD6JCM CH08BFAUL
LM2FDSC6UAM-DSCD6UAM CH25FAUL2
LM2FDSC6ECM-DSCD6ECM CH06BFAUL
LM4FDSC25JAM-DSCD25JAM CH80CFAUL2
LM4FDSC25JCM-DSCD25JCM CH20BFAUL
LM4FDSC25UAM-DSCD25UAM CH65CFAUL2
LM4FDSC25ECM-DSCD25ECM CH15BFAUL
図は銘板のイメージです。
製品によって、情報の記載位置が異なる場合があります。
リニアドモーターの仕様
品名
製造年月
搭載モーターの仕様
製造番号
z
モーター部
取付脚
前面取付穴
ラック
ラックブッシュ
負荷取付用ねじ穴(2か所)
取付穴
電磁ブレーキ用
コネクタ
ラックケース
モーター用コネクタ
保護接地端子
電磁ブレーキ部
搭載モーター

設置場所と設置方法、および負荷の取り付け方法について説明します。
風通しがよく、点検が容易な次のような場所に設置してください。
•屋内
•使用周囲温度••AC電源電圧仕様によって異なります。•
100•V、200•V:―10 ~ +50•℃(凍結しないこと)•
110/115•V、220/230•V:―10 ~ +40•℃(凍結しないこと)
•使用周囲湿度•85%以下(結露しないこと)
•爆発性雰囲気、有害なガス(硫化ガスなど)、および液体のないところ
•直射日光が当たらないところ
•塵埃や鉄粉などの少ないところ
•水(雨や水滴)、油(油滴)、およびその他の液体がかからないところ
•塩分の少ないところ
•連続的な振動や過度の衝撃が加わらないところ
•電磁ノイズ(溶接機、動力機器など)が少ないところ
•放射性物質や磁場がなく、真空でないところ
•標高•海抜 1000•m以下
リニアドモーターは、取付脚または前面取付穴のどちらかを利用して取り付けます。
接地された金属板へ確実に固定してください。
z
金属板との間にすき間ができないように、
4 本のねじ(付属していません)でリニアド
モーターを固定します。取付脚の厚さを考
慮した長さのねじをご用意ください。
LM2F
LM4F
ラックが通る穴(E)も開けてください。
ØF
ØE
B±0.5
A
C±0.5
D
LM2F
LM4F
z
金属板との間にすき間ができないように、
4 本のねじ(付属していません)でリニア
ドモーターを固定します。
LM2F
LM4F
G±0.5
G±0.5 ØH
LM2F
LM4F
ねじ(付属していません)で、負荷をラック端面の負
荷取付用ねじ穴に取り付けます。負荷を取り付ける
ときは、必ずラックにスパナ掛けをして、回転力が
ラックに加わらないよう固定してください。
スパナ掛け
負荷取付用ね
じ穴
A
負荷
LM2F
LM4F
重要
重要
ラジアル荷重や回転トルク(モーメント)が許容値以下でも、ガイドなどを設けて荷
重を軽減、分散させることをお勧めします。
z
ラック端にかかるラジアル荷重は、表の許容値以下にしてください。
ラジアル荷重
LM2F LM4F
z
ラック端にかかる回転トルク(モーメント)は、表の許容値以下にしてください。
回転トルク
(モーメント)
LM2F
LM4F
z
リニアドモーターは、ラックとラックブッシュの
間にわずかなすき間があります。
このすき間から発生するガタつきの初期値は以下
のようになります。
•A、B方向:2•mm程度
•C方向:0.5•mm程度
•D方向:0.5°程度
∗A、B方向の値は、ラックケースの端面から
500•mmの位置での値です。
D
C
B
A
運転を繰り返していくにしたがってラックブッシュが摩耗し、このガタつきは増え
ていきます。
ガタつきが気になる場合には、ガイドなどを取り付けてください。

リニアドモーターを取り付ける際にラックの位置を手動で変更したいときは、DSC
の電磁ブレーキを解放し調整することができます。
詳細は、スピードコントローラに付属している取扱説明書をご確認ください。
z
リニアドモーターとスピードコントローラを接続後、次の手順で電磁ブレーキを解
放できます。
保持
を押すと
保持、
解放を切り替
え
できます。
解放
テストモード JOG運転
電磁ブレーキ
操作
重要
接地
スピードコントローラ
リニアドモーター
モーター用コネクタ
CN3に接続
電磁ブレーキ用コネクタ
CN2に接続
スピードコントローラの接続は、スピードコントローラに付属している
取扱説明書をご確認ください。
モーター部の保護接地端子 を使ってモーターの近くに最短距離で接地してくださ
い。
z
接地には、次のような圧着端子をご使用ください。
•適用圧着端子:絶縁被覆付き丸形圧着端子
•端子ねじサイズ:M4
•締付トルク:1.0 ~ 1.3•N·m
•適用リード線:AWG18[0.75•mm2]以上
Ø4.1mm以上
4.8mm以下
9.5mm以下
重要
ここでは、Lシリーズ特有の内容ついて説明しています。
操作方法は、スピードコントローラに付属している取扱説明書をご確認ください。
DSCは次のいずれかの方法で回転速度を設定することができます。
ラック速度を操作パネルで設定する場合は、モーター出力軸の回転速度で設定します。
外部速度設定器
周辺機器(別売)
外部直流電源
DC0 〜 5V または DC0 〜 10V
操作パネルでの設定
(出荷時の設定)
最大 4 パターンの運転データを設定
することができます。
リモート設定
z
モーター出力軸回転速度
50•Hz:300 ~ 1400•r/min
60•Hz:300 ~ 1600•r/min
LM2F45
LM4F45
LM2F20
LM4F20
LM2F10
LM4F10
低速:300•r/min、高速 50•Hz:1400•r/min、高速 60•Hz:1600•r/min
z
モーター出力軸の回転速度に対する
ラック速度の関係は、下図のように
なります。 ラック速度
0
10
20
30
40
50
60
300 600 900 1200 1500 1800
ラック速度[mm/s]
モーター出力軸回転速度[r/min]
LM2F
ラック速度[mm/s]
モーター出力軸回転速度[r/min]
LM4F
ラック基本速度:45 20 10
0
10
20
30
40
50
60
300 600 900 1200 1500 1800
重要

z
DSCの「減速比」パラメータに下表の減速比を設定することで、ラック速度を表示す
ることができます。
ラック速度
[mm/s]
LM2F45
LM4F45
LM2F20
LM4F20
LM2F10
LM4F10
回転速度を設定後、FWDまたは REV入力を ONにすると、設定された速度でモーター
が回転します。
モーターが回転中に ONになっている信号(FWDまたは REV入力)を OFFにすると、
設定された減速時間にしたがってモーターが減速停止します。
FWD入力と REV入力を同時に ONにすると、モーターは瞬時停止します。
ON
OFF
ON
OFF
保持
解放
REV入力
FWD入力
モーターの動き
FWD方向
REV方向
運転/減速停止運転/瞬時停止運転/減速停止
電磁ブレーキ
重要
製品によってラックの移動方向が異な
ります。
上方向
下方向
LM2F45
LM2F20
LM2F10
LM4F45
LM4F20
LM4F10
リニアドモーターの運転後は、定期的に次の項目を点検することをお勧めします。
異常があるときは使用を中止し、お客様ご相談センターにご連絡ください。
重要
z
•リニアドモーターの取付ねじに緩みがないか確認してください。
•リニアドモーターの軸受部(ボールベアリング)から異常な音が発生していないか
確認してください。
•ケーブルに傷やストレスがないか、スピードコントローラとの接続部に緩みがな
いか確認してください。
•ラックのグリースが不足していないか確認してください。
•ラックのすき間が増えていないか確認してください。
•負荷の取付ねじに緩みがないか確認してください。
製品の保証については、当社の WEBサイトでご確認ください。
https://www.orientalmotor.co.jp/
製品は、法令または自治体の指示に従って、正しく処分してください。
周辺機器を取り付けるときは、各製品の取扱説明書をご確認ください。
z
フォト・マイクロセンサを使用すると、ラック位置を検出
できます。
PARP-PS2B LM2F
PARP-PS4B LM4F
z
リミットスイッチを使用すると、往復動作が簡単に行え
ます。
品•名:
PARP-MS
z
衝撃、異物付着などから保護するカバーです。
2LSC LM2F
4LSC LM4F
Table of contents
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