HOWA MACHINERY H018M User manual

クイックチェンジチャック
QUICK CHANGE HOLLOW POWER CHUCK
H018M
取扱説明書
INSTRUCTION MANUAL
HOWA MACHINERY, LTD.
重要
本取扱説明書をよく読み,内容を十分理解した
上でこの製品を使用してください。
この取扱説明書は大切に保管し,製品の所有者
が変わった場合,この説明書も新しい所有者に
手渡してください。
IMPORTANT
Be sure to read and understand this
instruction manual thoroughly before
operating this product.
Please save this manual. When
ownership of this product is transferred,
submit this manual to the new owner.

目次
はじめに
安全についてのインフォメーション
安全のために
1.構造と作動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1.1 形番表示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1.2 構造と作動・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2.取付け方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2.1 開梱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.2 付属品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.3 準備するもの・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.4 ストローク規制・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.5 取付作業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2.5.1 作業を始める前に ・・・・・・・・・・・ 6
2.5.2 ドロースクリュの取外し ・・・・・・・・ 6
2.5.3 ドロースクリュのねじ加工 ・・・・・・・ 6
2.5.4 ドロースクリュの取付け ・・・・・・・・ 6
2.5.5 チャックアダプタの取付け ・・・・・・・ 7
2.5.6 チャックの取付け ・・・・・・・・・・・ 7
2.5.7 点検・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
2.5.8 バランス ・・・・・・・・・・・・・・・ 9
3.使用上の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
3.1 トップジョーの選定・・・・・・・・・・・・・・ 9
3.2 トップジョーの取付け・・・・・・・・・・・・・ 10
3.3 トップジョーの成形・・・・・・・・・・・・・・ 11
3.4 ストッパの取付け・・・・・・・・・・・・・・・ 13
3.5 使用条件の設定・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
3.5.1 許容シリンダ力・・・・・・・・・・・・・ 14
3.5.2 ワークの変形・・・・・・・・・・・・・・ 14
3.6 作業上の注意・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
3.6.1 ワークを把握する前に ・・・・・・・・・ 15
3.6.2 ワークを把握するとき ・・・・・・・・・ 15
3.6.3 切削中・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
3.6.4 作業終了・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
4.保守・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
4.1 給油・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
4.2 分解と清掃・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
4.2.1 分解手順・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
4.3 安全回転数の設定・・・・・・・・・・・・・・・ 18
4.4 パーツリスト・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
5.故障対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
6.仕様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
6.1 仕様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
6.2 把握力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
6.3 標準生爪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
6.4 標準硬爪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
6.5 付属品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
限定保証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

- 1 -
1.この取扱説明書は,H018M 形クイックチェンジチャックの標準形について説明しています。
2.このチャックをご使用いただく前に,必ずこの取扱説明書を熟読し,取付け・運転・点検・保守について十分
に理解した上でご使用くださるようお願いします。
3.この取扱説明書の記載事項を守らない場合,作業者や周りの人を巻き込んだ重大な事故や機械の破損に結びつ
く事があります。
4.この取扱説明書は常に手元に置き,紛失しないように大切に保管してください。
5.この取扱説明書と,この取扱説明書が対象とする製品についての問い合わせは下記へお願いします。
またこの取扱説明書を紛失したときも下記へ直接請求してください。
豊和工業株式会社 機械事業部 機器グループ 営業チーム
〒452-8601 愛知県清須市須ケ口 1900 番地 1
TEL (052) 408-1254
FAX (052) 409-3766
6.この取扱説明書はSI単位で書かれています。
従来単位による数値は以下の式で求めることができます。
圧力 1MPa=10.197kgf/cm2
力1kN =101.97kgf
トルク 1N・m=0.10197kgf・m
この製品を安全にご使用していただくために必要な警告事項を,安全警告シンボルと共に記載してあります。警告
事項を良く読み,十分に理解してください。
この取扱説明書の警告メッセージをより良く理解していただくために,警告シンボルを次のように使い分けてあり
ます。
当社は,あらゆる環境下における運転・操作・点検・保守のすべての危険を予測することはできません。そのため,
この取扱説明書に明記されている警告は,安全のすべてを網羅したものではありません。
また,「できないこと」や「してはいけないこと」は極めて多くあり,この取扱説明書にすべて書く事はできませ
ん。この取扱説明書に「できる」と書いてない限り,「できない」と考えてください。もし,この取扱説明書に書
かれていない運転・操作・点検・保守を行う場合,安全に対する必要な配慮は,すべて自分の責任でお考え願いま
す。
はじめに
安全についてのインフォメーション
この表示は,取扱いを誤った場合に,重傷もしくは死に至る危険が切迫して生じることが
想定される事項を示します。
これらの警告メッセージには,危険を回避するのに講じなければならない予防措置が含ま
れます。
この表示は,取扱いを誤った場合に,重傷もしくは死に至る可能性が想定される事項を示
します。
これらの警告メッセージには,危険を回避するのに講じなければならない予防措置が含ま
れます。
この表示は,取扱いを誤った場合に,軽微なケガの発生または機械の損傷が想定される状
態を示します。
危険
警告
注意

- 2 -
ご使用の前に特に知っておいていただきたいこと,守っていただきたいことをまとめています。必ずお読みくださ
い。
ボルトのサイズと締付けトルクを下表に示します。
締付トルク
ボルトサイズ
M6
M8
M10
M12
M16
M20
締付トルク (N・m)
12.1
29.4
57.9
101
161
251
安全のために
スピンドル回転中は,回転シリンダの切換弁の操作を行ってはな
らない。
把握したワークが飛散し危険です。
スピンドル回転中は,スピンドルカバーの中に体の一部を入れて
はならない。
回転物に巻込まれ危険です。
回転シリンダの電磁弁は,無通電時把握する回路とすること。
把握したワークが飛散し危険です。
把握中は,回転シリンダの油圧力を一定に保つこと。
把握したワークが飛散し危険です。
チャックの取付け・点検・保守の時には,電源を切ること。
回転物に巻き込まれ危険です。
ボルトの締付けは確実に行うこと。
ボルトの緩み,ボルトの破損による部品やワークの飛散が発生するおそれ
があります。
最高使用回転数以内で使用すること。
回転数の増加により把握力が低下するため,ワークが飛散し危険です。
危険
警告

- 3 -
給油は 8時間の使用につき 1回を目安としますが,水溶性切削油を多量に使用する場
合は,4時間の使用につき 1回としてください。
推奨油種
モリコート EP グリース (東レ・ダウコーニング (株))
チャックの取付け取外しの時はアイボルトを使用すること。
手を滑らしてチャックを落したり,腰をいためたりするおそれがあります。
消耗品を含むすべての部品は豊和工業へ注文してください。
豊和工業が扱う以外の部品を用いて発生する事故については,その責を負
いかねます。また豊和工業の純正部品を用いない限り,すべての保証は無
効になります。
定期的に給油を行うこと。
給油を怠ると製品の寿命を著しく縮める結果となることがあります。
警告
注意
このチャックは,立形の機台には使用しないでください。
このチャックを,立形の機台で使用しますとラック部へ切粉が堆積してジ
ョーの交換操作ができなくなる場合があります。

- 4 -
1.構造と作動
1.1 形番表示
H018M 形クイックチェンジチャックは次のように分類されます。
H018M A
JIS 規格主軸端番号
記号なし :ストレートインロ付き(標準仕様)
:アダプタまたはバックプレート付き
主軸端番号:6,8,11
サイズ番号:8,10,12,15
1.2 構造と作動
H018M形クイックチェンジチャックは大きく分けて
チャックボデー,ウェッジプランジャ,マスタジョーお
よびベースジョーより構成されています。
ウェッジプランジャとマスタジョーはボデーの回転中
心に対して傾斜したT形断面の溝と突起でかみあって
います。
ウェッジプランジャが後方へ引かれると,マスタジョー
は中心に向って引寄せられ,トップジョーを介してワー
クの外径を把握します (外径把握) 。
また,ウェッジプランジャが前方へ押されると,マスタ
ジョ一は外周方向に移動し,トップジョーを介してワー
クの内径を把握します (内径把握) 。
マスタジョーにはラックと偏心カムが内蔵されており,
専用レンチを用いてこれを反時計まわりに180°回転
させることにより,ベースジョーとの結合を簡単に開放
することができます。このため,ベースジョーと一体に
なったトップジョーを素早く位置変え,反転,交換する
ことができます。
なお,その状態では安全のために専用レンチを抜くこと
ができない構造となっていますのでご注意ください。
また,専用レンチは,ノブの部分を持ってチャックを回転させるなど,爪の交換操作以外の用途に用いると破損す
るおそれがありますので,そのようなことは避けてください。
注意
この取扱説明書の中では,トップジョーが付いている側を前,ドロースクリュが付いている側を後
とします。
図1

- 5 -
2.取付け方法
2.1 開梱
チャックを梱包箱から取出します。8インチ以上のチャックは重量が20kg 以上あります。腰をいためたり,落し
てけがをする恐れがありますから,手で動かしたり持ち上げたりせず箱を壊して付属のアイボルトをチャック外周
のねじ穴にねじこみ,チェンブロックなどを用いて吊り上げてください。
2.2 付属品
梱包箱にはチャック本体の他に、付属品が同梱されていますので確認してください。
(詳細については,6. 5 付属品の項を参照してください。)
2.3 準備するもの
直装形の A□形チャックを除き,旋盤の主軸にチャックを取付けるためにはチャックアダプタが必要です。チャッ
クアダプタを設計する上で不明な点がありましたら,当社へ問い合わせてください。
この際,回転シリンダのシリンダストロークがチャックのプランジャストロークよりも長い場合には,チャックア
ダプタの前端面がウェッジプランジャの動きを規制するようにチャックアダプタを設計してください。
チャックを作動させるためには,チャックアダプタの他に回転シリンダ,シリンダアダプタ,コネクチングパイプ
および油圧源または空気圧源が必要ですが,これらについては回転シリンダの取扱説明書を参照して下さい。
当社はご要望があればコネクチングパイプの図面をチェック致します。
2.4 ストローク規制
H018M 形チャックをご使用になる場合,回転シリンダのシリンダストロークとチャック
のプランジャストロークを同一とする必要があります。
回転シリンダのシリンダストロークがチャックのプランジャストロークよりも長い場合に
は,チャックのプランジャストロークに合わせてシリンダストロークを規制しなければな
りません。回転シリンダのストローク規制は,機種やサイズによって異なりますので実施
に当たっては当社へ問い合わせてください。
回転シリンダのシリンダストロークを規制するかわりに,チャックアダプタの前側端面に
ウェッジプランジャの後側端面を当ててストロークエンドとする方法もあります。この場
合,チャックアダプタの前側端面は図 2および表 1で示した形状としてください。
表1
(mm)
チャックサイズ
8
10
12
15
B2
84
102
136
135
B3
94
110
144
197
D1
7
10
12
12
D2
Min.
4
6
10
9
注意
警告
チャックの取付け,取外しの時はアイボルトを使用すること。
手を滑らしてチャックを落したり腰をいためたりする恐れがあります。
コネクチングパイプは,使用する旋盤とチャックに適したものを使用しなければなりませ
ん。
コネクチングパイプの肉厚を強度上十分なものとすることは非常に重要です。
強度が不足して破断すると把握力が一瞬のうちに失われ,ワークの飛散が発生します。
図2

- 6 -
2.5 取付作業
2.5.1 作業を始める前に
梱包箱から取出したチャックの表面に付着した防錆油は,布に浸した洗浄油で拭き取ってください。
2.5.2 ドロースクリュの取外し
チャックを作動させるにはドロースクリュにめねじを加
工して,コネクチングパイプと接続できるようにする必
要があります。そのためには,ドロースクリュをウェッ
ジプランジャから取外さなければなりません。
ドロースクリュは,リテーナを外せば取外すことができ
ます。このとき,ドロースクリュの裏側にセットされて
いるスチールボールとスプリングを紛失しないように注
意してください。
2.5.3 ドロースクリュのねじ加工
コネクチングパイプのねじ径に合せてドロースクリュに「めねじ」Jを加工します。
チャックサイズに対する「めねじ」の最大加工可能径は表 2の通りです。
ねじは,振れが図 4に示した公差を超えないようにしてください。
表2
チャックサイズ
8
10
12
15
Jmax
M50
M60
M82
M125
2.5.4 ドロースクリュの取付け
ドロースクリュにめねじを加工したら,取外しと逆の順序で取付けます。
リテーナ取付ボルトは,表 3の締付トルクで全数均等に締付けてください。
表3
ボルトサイズ
M6
M8
M10
M12
締付トルク (N・m)
12.1
29.4
57.9
101
図3
図5
図4
警告
コネクチングパイプは,ねじを切った後でも十分な強度が確保できる肉厚がなけれぱなり
ません。
2.5.3項で示した,ねじ加工を行う上での注意は,ドロースクリュの強度を確保するため
に必ず守らなければなりません。いずれか一方でも確認を怠れば,コネクチングパイプ
またはドロースクリュの破損により把握力が一瞬のうちに失われてしまいます。
その結果,切削中のワークが外れて,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせる
おそれがあります。
警告
このチャックは,立形の機台には使用しないでください。
このチャックを,立形の機台で使用しますとラック部へ切粉が堆積して作動不良の原因
となります。この状態で使用しますと,トップジョーやワークが飛散し危険です。

- 7 -
2.5.5 チャックアダプタの取付け
チャックアダプタを主軸前端に取付けます。
チャックアダプタのチャック取付インロ部(C)および基準端面は,主軸に
取付けてから加工してください。
チャック取付イン口部 Cとチャックアダプタのスキマは直径で 0.040~
0.050 ㎜とします。
2.5.6 チャックの取付け
①チャックを取付ける前にトップジョー,ホルダー,カラーおよびOリ
ングを取外します。
②チャックには,ボデーの外周にアイボルト穴が設けてありますから,ここに付属のアイボルトをねじ込み,吊り
上げます。
③油圧または空気圧回路を操作してコネクチングパイプを前進端まで前進させます。
この状態における,チャックアダプタ前端面とコネクチングパイプの前端面との間の距離Reは表4の値とします。
表4
チャックサイズ
8
10
12
15
Re±1(mm)
20
24
24
30
Re 寸法が表 4の値より大きいと,チャックを取付けることができません。
図6
図7
注意
警告
コネクチングパイプのねじ込み深さRe寸法は適正な長さとすること。
Re寸法が表4の値より小さいと,ドロースクリュに対するコネクチングパイプのねじ込
み深さが足りないために,ねじが破損して把握力が一瞬のうちに失われてしまいます。
このような事故が起きれば,切削中のワークが外れて,作業者や近くにいる人に致命的
なけがを負わせるおそれがあります。
警告
リテーナ取付ボルトは,正しい締付トルクで締付けなければなりません。
締付トルクは小さすぎても大きすぎてもボルトやリテーナの破損につながります。
これらが破損すれば把握力は一瞬のうちに失われ,その結果,切削中のワークが外れて,
作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。

- 8 -
④チャックの前側から,付属の専用レンチを挿入して,ドロースクリュを回すことができることを確認します。
⑤チャックをチェンブロックで保持しながら,コネクチングパイプにドロースクリュを,それ以上回らなくなるま
でねじ込みます。
⑥チャックボデーを付属のチャック取付ボルトでチャックアダプタに取付けます。
チャックボデーの外周と端面の振れが,表 5の値以下となるように取付けてください。
表5
チャックサイズ
8
10
12
15
外周の振れ T.I.R (mm)
0.020
0.030
0.040
端面の振れ T.I.R (mm)
0.020
0.030
0.040
チャック取付ボルトの締付トルクは表 6の値とします。
表6
ボルトサイズ
M10
M12
M16
M20
締付けトルク (N・m)
57.9
101
161
251
⑦専用レンチを用いてドロースクリュを回し,マスタジョー全開時に,マス
タジョーフラット部分の中央がチャックボデー外周と一致するように調整
します。
なお,ドロースクリュにはクリック(回り止めのスチールボールとスプリン
グ)が設けてありますので,少し回転が重くなった位置で停止させて,調整
してください。
⑧最後に,Oリング,カラー,ホルダおよびトップジョーを取付けて,作業を終えます。
⑨アイボルトをチャック外周に取付けて作業を行ったときは,作業終了後必ずこれを取外します。
2.5.7 点検
取付に何らかの異状がある場合には作動抵抗が大きく,そのまま使用すると,部品の焼付きや異常摩耗を引き起こ
し,チャックの寿命を著しく縮めます。取付けを終えたら必ず最低作動圧を調べ,これが異常に高い場合にはチャ
ックを取外して原因を取除く必要があります。
アイボルトをチャック外周に取付けて作業を行なったときは,作業終了後必ずこれを取外
すこと。
アイボルトを付けたままチャックを回転させると,作業者の体の一部や衣服が巻込まれ,
負傷するおそれがあります。
図8
注意
警告
警告
チャック取付け中に油圧または空気圧回路を操作する場合には,十分注意してこれを行っ
てください。
チャック取付け中にこれらを誤って操作すると,チャックボデーとスピンドルの間や,
トップジョーおよびマスタジョーの間に作業者の身体の一部がはさまれてけがをするこ
とがあります。
ボルトの締付けは確実に行うこと。
締付トルクが不足したり大きすぎるとボルトが破損して,チャックやワークが脱落する
おそれがあります。このような事故が起きれば,チャックやワークが外れて,作業者や
近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。

- 9 -
2.5.8 バランス
追加工や治具取付けによってアンバランスにならないように注意してください。アンバランスがありますと振動な
どが発生して加工精度不良となります。
アンバランスの大きいワークの場合,ワークの偏心質量による遠心力がトップジョーに加わりますので,十分検討
し低い回転速度で加工してください。
本書が対象とするチャックの釣合い良さは,JIS B0905-1992 で定義される釣合い良さ 4mm/s を基準とし,チ
ャック外周における不釣合いの大きさは,表 7のように規定してあります。
(JIS B0905-1992 の対応国際規格は,ISO1940-1:1986 とISO8821:1989 です。)
表7
チャックサイズ
8
10
12
15
不釣合いの大きさ(最大) (g)
3
4
6
10
3.使用上の注意
3.1 トップジョーの選定
チャックにはトップジョーとしてベースジョー,標準生爪が一組取付けてあります。また,豊和工業では別売品と
して標準生爪のほかに,ご注文に応じて標準硬爪および専用トップジョーを製作致しておりますので,必要な場合
は注文してください。ただし,豊和工業が扱う以外のトップジョーを用いて発生する事故についてはその責を負い
かねます。
消耗品を含むすべての部品は豊和工業へ注文してください。
豊和工業が扱う以外の部品を用いて発生する事故については,その責を負いかねます。
また豊和工業の純正部品を用いない限り,全ての保証は無効になります。
チャックとともに納入されるものより重いトップジョーは使用しないでください。
標準生爪や標準硬爪より重量の大きなトップジョーをチャックに取付けて回転させる
と,重量の差に相当する遠心力だけ余分に把握力が失われます。
そのような状態で切削を行うと,ワークが外れて,作業者や近くにいる人に致命的なけ
がを負わせるおそれがあります。
標準生爪より高いトップジョーを用いる場合は,トップジョーの高さに反比例してシリン
ダ力を下げて下さい。
チャックの前端面から把握点までの距離 Hが,そのチャックの標準生爪の高さ(下図,
または寸法表の中のX寸法)より大きいトップジョーを用いると,カタログや仕様表に
表示した許容シリンダ力以下でチャックを作動させても,トップジョー取付ボルトに許
容値を超える力が作用して破損し,トップジョー自身やワークが外れるおそれがありま
す。
このような事故が回転中に起きれば,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせる
おそれがあります。
トップジョー取付けボルトが破損しないまでも,このような使用方法のもとではベース
ジョーのスライド部に大きな力が作用し寿命を著しく縮めるおそれがあります。
警告
警告
警告

- 10 -
3.2トップジョーの取付け
トップジョーはベースジョーと一体となっており,ベースジョー
はマスタジョーに組み込まれたラックを,専用のレンチを用いて
操作することにより,マスタジョーとの結合を簡単に開放するよ
うになっています。
ベースジョーには,その調整範囲を超える部分にはラックに対応
する歯が切ってありませんから,そのような範囲でかみ合わせる
ことはできません。ベースジョーが調整範囲に入っているかどうかは,ベースジョーの中央に刻まれた合印が,チ
ャック端面の刻み線の範囲に入っているかどうかを調べることによって判別できます。
①ワークに合ったトップジョーを選定したら,これをチャックに取付けます。
取付ける前に,ベースジョーとマスタジョーのラックとベースジョーのジョー溝を圧縮空気で清掃します。圧縮
空気で飛ばない汚れは,洗浄油で汚れを浮上らせてからブラシを掛け,圧縮空気で吹飛ばします。
注意
ラックに傷が付いていると,ゴミが付着している場合と同様,ベースジョーの取付けが安定せず,精度不良の原因
になります。傷を発見した場合は,油砥石やヤスリで修正してください。
②トップジョーの取付けボルトは,安全と精度維持のために重要です。ボルトのねじ込み深さや,締付トルクの不
足が大きな事故の原因になる場合がありますから,表に示す値を必ず守ってください。
ボルトは表 8に示す締付トルクで締付けてください。
表8
ボルトサイズ
M10
M12
締付けトルク ( N・m )
57.9
101
③トップジョー1個当りの取付ボルトは 3本です。また,ベースジョーに対するボルトの
ねじ込み深さは,標準生爪または標準硬爪を付属の取付ボルトを用いて取付ける限り,
過不足のない値となりますが,それ以外の組合わせの場合には,表 9を参照して適正な
長さの取付ボルトを使用してください。
表9
チャックサイズ
8
10
12
15
最小ねじ込み深さ L (mm)
13
15
取付ボルトは正確な締付トルクで締付けてください。
表8に示されたトルクより少ないと,ボルトが緩んでトップジョーやワークが外れるお
それがあります。また,過大なときはトップジョーやベースジョーが変形して作動不良
を起こしたり,破損してトップジョーやワークが外れることがあります。
トップジョーやワークが外れると,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるお
それがあります。
図9
図10
警告

- 11 -
3.3 トップジョーの成形
トップジョーを取付けたら,これをワークに合せて成形します。
ワークを把握するときのジョーストロークは終端から全ストローク
の1/4 を除く範囲としてください。これは,ワークの外径を把握す
るときは,ジョーストロークの内寄り 1/4,ワークの内径を把握す
るときは,ジョーストロークの外寄り 1/4 では把握してはならない
ことを意味します。(図11 参照)
トップジョー成形時のシリンダ圧力は,ワークを実際に加工すると
きと同じ圧力としてください。トップジョーの成形要領は図 12 を
参照してください。
トップジョーは1個当り 3本のボルトで,適正な長さのボルトを使用して下さい。
トップジョーは1個当り 3本のボルトで締付けてください。2本だけで締付けるとトッ
プジョーやボルトが破損するおそれがあります。また,トップジョーを取付けるボルト
の,ベースジョーに対するねじ込み深さが浅いとベースジョーが損傷するおそれがあり
ます。またトップジョーを取付けるボルトがベースジョーのねじ底面へ突出していると,
ボルトを締付けてもトップジョーが固定されません。
回転中にこのような事故が起きれば,いずれの場合もトップジョーやワークが外れて,
作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。
ジョーストロークの終端付近では把握しないでください。
機械加工の行われていない鋳造・鍛造ワークは,外形が不揃いのために安定した把握が
できないことがあります。未加工の鋳造・鍛造ワークをジョーストロークの終端付近で
把握しようとすると,把握力が十分に伝わらず,切削の衝撃でワークがずれて外れるこ
とがあります。このような事故が起きれば,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負
わせるおそれがあります。
図11
警告
警告

- 12 -
図12
外径把握の場合
内径把握の場合
1
●成形プラグを用意します
プラグの外径寸法は成形部の寸法・形状に
より異なるので,あらかじめ外径寸法の相
異するプラグを準備しておくと便利です。
1
●成形リングを用意します
2
●油圧または空気圧回路を操作してマスタジ
ョーを最大に開きます。
●次に,φD部(成形プラグを把握する部分)
を成形します。
φD寸法は以下の式で求めます。
成形プラグ外径をφdとすると,
φd<φD≦φd+(ジョーの最大ストローク)
×0.75
2
●油圧または空気圧回路を操作してマスタジ
ョーを最小に閉じます。
●次に,φD部(成形リングを把握する部分)
を成形します。
φD寸法は以下の式で求めます。
成形リング内径をφdとすると,
φd>φD≧φd-(ジョーの最大ストローク)
×0.75
3
●油圧または空気圧回路を操作してφD部に
成形プラグを把握します。このとき,成形
プラグが倒れないようチャック前面に成
形プラグを押し付けて把握してください。
3
●油圧または空気圧回路を操作してφD部に
成形リングを把握します。このとき,成形
リングが倒れないように注意してくださ
い。
4
●成形プラグを把握したままの状態で,加工
物把握部(φd')を成形します。
φd'部は加工物の把握部直径と同径(H7 程
度)に,表面粗さは 1.6a 以下に加工してく
ださい。
また最終仕上げ成形の前に成形プラグを再把
握しなおすと,より高精度な仕上げ面を得る
ことができます。
4
●成形リングを把握したままの状態で,加工
物把握部(φd')を成形します。
φd'部は加工物の把握部直径と同径(h6 程
度)に,表面粗さは 1.6a 以下に加工してく
ださい。
また最終仕上げ成形の前に成形リングを再把
握しなおすと,より高精度な仕上げ面を得る
ことができます。
5
●成形が終わったら加工物を把握し,ジョー
のストロークと把握精度を確認してくだ
さい。
5
●成形が終わったら加工物を把握し,ジョー
のストロークと把握精度を確認してくださ
い。
成形プラグを把握するときに
は手をはさまないように十分
に注意してください。誤って
手をはさむとけがを負うおそ
れがあります。
成形リングを把握するときに
は手をはさまないように十分
に注意してください。誤って
手をはさむとけがを負うおそ
れがあります。
注意
注意

- 13 -
参考
棒材を加工するときには,ワークが長いことによって発生する振動,小径であることによって発生するトップジョ
ーの剛性不足から,把握の安定性が失われスリップすることがあります。
このような棒材を加工するときは,ワークの軸方向の把握長さを大きく取り,把握の安定性を改善させます。
図13 と図 14 示す例は,把握する成形プラグの位置をチャック端面近くから,トップジョーの上面に移すことに
よって,ワークの把握長さを長く確保すると共に,成形時のトップジョーの浮き上がりを実際にワークを把握する
ときの状態に近づけ,把握の安定性を増すための成形方法です。
3.4 ストッパの取付け
ワークをチャックの回転軸方向に位置決めをするためには,トップジョーの上面やチャックボデーの前面に押し当
てる以外に,ワークの形状によってはチャックの前面に基準片(ストッパ)を取付ける方法が必要な場合があります。
ストッパを設計する場合は,当社に図面の承認を受けてください。当社が承認しないストッパを使用したときにお
いて発生した事故に対する責は負いかねます。
3.5 使用条件の設定
チャックの使用条件の中には切削力以外に,ワークの把握長さ,ワークの突出長さ,摩擦係数,回転数など数多く
の要素があります。最適な使用条件を決めるためには,これら全てを考慮しなければなりませんが,これにはかな
り手間のかかる計算手順を必要とします。これを行なう上でドイツ技師協会が発行する「VDI 基準 No.3106」が
参考になります。この「VDI 基準 No.3106」は(財)日本規格協会より購入することができます。
当社では「VDI 基準 No.3106」の日本語版を用意しておりますので必要の場合には請求してください。
仕様表やカタログに示すチャックの最高使用回転数は,標準生爪を,ジョーの調整範囲の
中央付近に取付け,マスタジョーのストローク中央において,許容シリンダ力にて把握力
測定器を把握して回転させたとき,把握力が静止時の把握力の 1/3 になった時の回転数と
して,単にガイドとして定義しております。
従って,これは全ての条件における安全を保証する値ではありません。
この値は,トップジョーの形状,重量,寸法と外形,切削力,把握力およびメンテナンス
の状態に強く影響されます。これらの要素はすべてユーザ側の責任範囲に属するものです。
与えられた条件のもとで回転数が高すぎるとワークが外れて飛び出し,作業者や近くにい
る人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。
警告
チャック端面近くで
成形プラグを把握する方法
トップジョーの上面で
成形リングを把握する方法
図13 図14

- 14 -
3.5.1 許容シリンダ力
仕様表やカタログに表示された許容シリンダ力は,標準生爪または標準硬爪を用いる限り,それが原因でチャック
が破損することのない最大のシリンダ力です。
許容シリンダ力は,それが必要な場合には加えても差し支えありませんが,常に最大の能力で使用されて,最良の
状態を長期にわたって保つことができる機器はほとんどありません。良好な把握精度を長期にわたって維持するた
めには,加えられる切削力に対してワークを保持するために必要で,しかも十分な把握力に調整することが最も効
果があります。
3.5.2 ワークの変形
変形しやすいワークの時は,把握力を低くして変形を小さくしなければなり
ません。ただし,回転数が高くなったときに,遠心力の作用でワークを保持
できなくなるおそれがありますから,把握力を小さくするときは特別の注意
が必要です。
変形の問題は,トップジョーをワークを包み込むような形状にすることによ
って,より良い結果が得られます。また,ワークの外径が完全に真円でない
場合には,6ヶ所の把握点に均等に把握力が加わるように,トップジョーを
首ふり形にすると,より良い結果が得られます。
ただし,当社が承認しない図面に基づいて製作されたトップジョーを用いて
発生した事故に対する責は負いかねます。
3.6 作業上の注意
当社はチャックのメーカですから,チャックが取付けられる旋盤やマシニングセンタの安全性については責任を負
いかねます。全般的な機械の安全な操作に関する規則やガイドは数多くありますが,ANSI B11.6 はその中でも最
も重要なものです。しかし ANSI であれ他の基準であれ,これらに技術面で完全に適合しているとしても,それが安
全を保証するわけではありません。全ての基準は総合的な安全の一部について考慮しているだけですから,それを
守ったとしても最低の基準を満足するにすぎません。
ここでは通常の作業の流れに沿って,一般的に払うべき注意をかいつまんで説明します。以下の説明を超えて行わ
れる作業については,あらゆる面から検討した上でユーザ側の責任において決定してください。
許容シリンダ力を超える力をチャックに加えるとチャックの部品やボルトが破損して把握
力が一瞬のうちに失われてしまいます。回転中このような事故が起きれば,トップジョー
やワークが外れて,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。
内径把握の場合は,シリンダ力を許容シリンダ力の 1/2 以下としてください。
この値を超えるシリンダ力をチャックに加えるとチャックの部品やボルトが破損して把
握力が一瞬のうちに失われてしまいます。回転中にこのような事故が起きれば,トップ
ジョーやワークが外れて,作業者や近くにいる人に致命的なげがを負わせるおそれがあ
ります。
機械全体を覆うカバーを設置しないとワークなどが飛び出したときに,作業者や近くにい
る人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。
図15
警告
警告
警告

- 15 -
3.6.1 ワークを把握する前に
注意
「ANSI B11.6-1984」では,シリンダの把握側に圧力が供給されていない場合には,チャックの回転を阻止
するインタロック回路または,視覚聴覚に働き掛ける警報装置を取付けることを規定しています。
トップジョーまたはストッパと,刃物台や刃物とが干渉していないことを,低い回転数で確認してから切削してく
ださい。
3.6.2 ワークを把握するとき
注意
「ANSI B11.6-1984」では,チャックの一部とワークの表面との隙間が,最も開いた時に1/4 インチ(約6
mm)を超える場合は,そこに作業者の体の一部が入らないようなカバーを付けることを規定しています。
作業を始める前に,チャックを作動させるための回転シリンダに必要な油圧または空気圧
が供給されていることを確認してください。
圧力が供給されていなかったり,不十分のときは,切削を始めたときワークが外れて飛び
出し,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。
このチャックの取付けに当たって,空気圧または油圧システムが異常を起こしたときに圧
力を失わないようにするために,チャックとの接続部分にチェックバルブとアキュムレー
タを設置しないと,ANSI B11.6-1984 section 4.3.2 に適合しません。
また,チェックバルブとアキュムレータとともに,チャックやワークと作業者や近くにい
る人を完全に隔てるカバーの設置が重要です。これがない場合,ワークなどが飛び出した
ときに,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。
ワークを把握するときには,トップジョーとワークまたはワークと機械本体との間に体の
一部がはさまれないよう注意しなければなりません。
作業者が手をはさまれてけがをすることがあります。
警告
警告
注意
警告
トップジョーまたはストッパと,刃物台や刃物とが干渉していないことを確認するために,
ワークを把握しないで,低回転にて加工サイクルを実行してください。
干渉を起こすとこれらが激しく衝突し,トップジョーやストッパが外れて飛び出し,作業
者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそれがあります。

- 16 -
3.6.3 切削中
注意
「ANSI B11.6-1984」では,回転部に作業者が近付くことができないような覆い,柵の設置を規定しています。
注意
「ANSI B11.6-1984」では,チャックが回転している時はチャックの開閉操作が無効になるような安全回路を
設けることと,開閉操作が無意識の操作から守られることを規定しています。
また「ANSI B11.6-1984」は,足踏みスイッチが使われている場合には,誤操作から守ることを要求していま
す。
3.6.4 作業終了
ワークの後端面がチャックのストッパ端面から離れている場合,ワークの回転中心がチャ
ックの回転中心に対して傾斜している場合,またはワークが鋳造・鍛造で,湯口やバリが
突出している場合は切り込み量が予想より大きくなり,切削力がチャックのワークを保持
できる限界を超え,ワークが外れることがあります。
回転中にこのような事故が起きれば,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるお
それがあります。このようなことが予想されるときには,安全のために低速で試験切削を
行ってください。
回転中のチャックのトップジョーや不規則な形状のワークは,輪郭が良く見えませんから,
不注意で作業者が触れてしまうおそれがあります。
回転中のチャックに体の一部が巻込まれると,非常に深刻な負傷を起こしますので,回転
中にはだれも近づくことができないような覆い,柵を回転部の周囲に設けなければなりま
せん。
作業が終了したら,ワークをチャックから外してください。
ワークを把握した状態で放置した場合,回転シリンダの供給圧力の低下や停止または誤作
動によってワークが外れ,機械を破損させるおそれがあります。
警告
警告
警告
危険
スピンドル回転中は,回転シリンダの切換弁の操作を行ってはならない。
把握したワークが飛散し危険です。

- 17 -
チャック内部に切削屑がたまると,把握力の低下,ジョーストロークの不足が発生し,そ
の状態で切削を行うとワークが外れ,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるお
それがあります。
4.保守
4.1 給油
チャックの最も一般的な不具合の原因は潤滑油の不足や不適合です。
潤滑油が不足したり,推奨油種以外の潤滑油を用いると,摩耗が早く進むだけでなく把握力が不足して,切削中に
ワークが外れるなどの危険が生じます。給油は以下のガイダンスに従って確実に行ってください。
給油箇所
推奨油種
給油期間
チャックボデー外周の
グリースニップル
モリコート EP グリース
8時間の使用につき 1回
ただし,切削水が常時かかる場合には,4時
間の使用につき 1回
ベースジョーの
ジョーガイド部
ダフニースーパー
マルチオイル 32
1日1回またはジョー交換操作毎に 1回
モリコート EP グリース取扱
東レ・ダウコーニング 株式会社
本店 〒100-0004 東京都千代田区大手町 1-5-1 ファーストスクエアビル・イースト 23
TEL 0120-77-6278 FAX 03-3287-1203
4.2 分解と清掃
給油が十分行われていても,微細な切削屑やスケールがチャック内部に侵入して,ジョーガイドやウェッジプラン
ジャの周囲にたまり,円滑な作動を妨げることがあります。
分解清掃は通常の使用条件で,1000 時間の使用につき一回とします。分解清掃を行うときは,部品の摩耗や破損
の状態をよく調べ,必要な場合には交換してください。
潤滑油が不足すると,把握力の低下,異常摩耗,焼き付きが発生します。
この状態で切削を行うとワークが外れ,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせる
おそれがあります。また,指定以外の潤滑油を用いると腐食や摩耗が早く進み,把握力を
失う原因となります。
不適切な潤滑油を用いると,チャックの把握力が不足します。
切削中にワークが外れて飛び出し,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそ
れがあります。
防錆効果のある切削水を用いないと,チャック内部に発生した錆が摩擦を増加させて把握
力が低下することがあります。
その結果切削中のワークが外れて飛出し,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせ
たり,機械を破損させるおそれがあります。
警告
警告
警告
警告

- 18 -
4.2.1 分解手順
部品名称,番号と組付け位置については,4.4 パーツリストの項を参照してください。
①チャック取付ボルトを(27)を外します。
②ホルダ(3),カラ-(2)を外した後,付属の専用レンチでドロースクリュ(6)を回してコネクチングパイプより
取外します。
③トップジョー(14)をベースジョー(12)とともに外します。
④ストッパボルト(30)をチャックボデー(1)から外します。
⑤ダストプルーファ(11)をマスタジョー(10)より外します。
⑥ウェッジプランジャ(5)をプラスチックハンマなどで叩きながらチャックボデーより抜き出します。
⑦マスタジョー(10)をチャックボデー(1)から取り出します。
⑧ラック(16)は偏心カム(20)を押えているカバー(19)を外せばマスタジョー(10)より分解することができます。
組付けの時は,指定グリースを充分塗布しながら分解と逆の手順で行ってください。
4.3 安全回転数の設定
「ANSI B11.6-1984」の section 7.1.9 には,安全回転数の設定についてのガイドラインが設けられています。
安全回転数は,チャックがワークを把握する能力を左右するマスタジョーの摩耗の程度に影響されます。マスタジ
ョーやチャックボデーの案内面が荒れて,把握力が維持できないような状態であれば,適切に修正しなければなり
ません。さらにチャックの使用法によっては,把握力を定期的に測定する必要があります。把握力に変化がなくて
も,ワークを把握するチャックの機能を維持するために,内部の汚れ具合を定期的に検査しなければなりません。
またチャックの回転数は,ワークを供給する速さ,ワークの大きさや重さ,ワークの材質,切削や加工の方法,切
削速度や送りなど,作業内容が変わる度に再検討しなければなりません。
トップジョーをゆるめたままチャックの中に残しておいてはいけません。主軸が起動した
ときにそれらが飛び出し,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせるおそれがあり
ます。
チャックは損傷がない限り,同じ空気圧または油圧のもとでは一定の把握力を維持しなければなりません。
しかしながらチャックがワークを把握する能力は,爪とワークの間の摩擦係数を低下させる原因となる爪の
把握面の摩耗によって悪化します。また爪がワークを保持する能力はワークそのものに依存します。例えば
直径が大きく重いワークは大きな力を爪に加えることになり,爪がワークを保持する能力を容易に超えてし
まうことがありますし,回転数が高くなればワークを外すような力を増加させることにもなります。汚れや
錆び,不適切な潤滑剤などメンテナンスの不備も,チャックがワークを保持する能力を低下させる一因とな
ります。最終的には,旋盤やマシニングセンタがワークに対して行なう加工法が,ワークとチャックの爪に
加えられるべき正確な力と,それがチャックの爪がワークを保持する能力を超えるかどうかを決定します。
従って作業内容が変わる度に,または変わらない場合は定期的に,必ずチャックがワークを保持する能力を
検討しなければなりません。チャックがワークを保持する能力を超えるような力を発生する加工は,ワーク
を外れさせる原因となります。このような事故が起きれば,作業者や近くにいる人に致命的なけがを負わせ
るおそれがあります。
警告
警告
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